完熟有機肥料製造

亜臨界方式と従来のコンポスト方式との違い

亜臨界雰囲気での加水分解方式は、従来の堆肥化(コンポスト)方式とは、全く異なり様々な問題点を解決する

亜臨界雰囲気での加水分解処理方式 従来のコンポスト方式
発酵期間 1~2週間程度 3ヵ月~12ヵ月
施設のスペース 発酵期間が短い為省スペース 発酵期間が長い為大規模となる
水分調整材 オガ粉などが必要 (オガ粉、古紙、古タタミ等)
堆肥化しにくい松や檜などでも短期間で堆肥化できる
オガ粉などが必要 (落ち葉、わら屑等)
松、檜などの木材は、期間が長く成、
窒素等の肥料成分が失われる
微生物 亜臨界方式により死滅する 完全なる無菌化 存在する(発酵時の温度で減少する)
無菌化は、出来ない
信頼性 安定した品質を維持できる 温度、湿度、等の維持管理が必要
悪臭 亜臨界方式により不快臭出ず メタンガス発生しない 発酵の過程で悪具が出続ける
メタンガスによる火災もある

亜臨界方式の概要(しくみ)

亜臨界での分解処理方式とは、あらゆる高分子有機化合物を亜臨界雰囲気(超臨界の手前の高温高圧雰囲気)で水だけの力で低分子な物質に分解する事です。
今回は、畜糞等を原料としての完熟有機肥料の製造に関して述べます。

原料となる家畜糞尿、生ごみ、食品残渣、脱水汚泥等と、オガ粉などを装置缶体内へ投入し、(一連の作業工程内に於いてバイオ菌等の菌類は、一切混入使用しない。)
飽和水蒸気を吹き込み高温200℃前後、高圧17~20気圧の雰囲気中で、一定時間撹拌しながら分解処理を行う処理方式です。装置缶体内の蒸気を放出し大気圧に戻した後、処理品を取り出し、発酵熟成ヤードにて約10日間、自然発酵、熟成させる事により完熟有機肥料を短時間で製造する事が出来ます。

加水分解処理装置クニスターAZを用いた 鶏糞その他家畜糞の完熟有機肥料製造方法

畜産農家の皆様が一番苦労され、悩まれているのが畜糞の処理問題であると多くお聞きします。
そこで、弊社の開発いたしました加水分解装置クニスターAZを用いての解決策を提案させて頂きます。
その一番の問題点は、臭気と性状だと思います。
屋外に堆積すれば雨水などにより流れだし、周辺、河川等を汚染します。
特に、鶏糞については独特の臭いがします。乾燥又は、焼却処理をするにもその臭いが周辺の空間環境に相当な広がりがあり、周辺住民からの苦情が多く寄せられ現在ではそのような処理作業が事実上できない状態と思います。そこで、クニスターAZ の出番です。 クニスターAZとは、約200度1.8MPaと云う高温高圧でそれら畜糞類、其の他の有機廃棄物を加水分解処理する装置です。有機廃棄物を加水分解することにより、肥料、飼料、燃料として有効利用することが出来るのです。
この装置で鶏糞などを加水分解処理しますと、90分程度の短時間で悪臭のない、肥料成分を損なわない完熟有機肥料に改質出来るのです。
このように短時間で処理することにより鶏糞の持つ栄養素を殆ど壊す事無く保つ事が出来るのです。
又、従来の発酵処理とは本質的に異なり糞尿中に存在する有機物を生物にとって吸収性の良い小分子状態に分解すると云う大きな特徴を持っています。
次にその特性を列記いたします。

STEP

1

最大値210度1.96MPaの密閉容器内で処理する為、臭気の原因となる硫化水素、アンモニア等が分解され処理後の鶏糞の悪臭が激減します。

STEP

2

加水分解により糞尿中の有機物が分解される為に窒素分の消費が止まり処理品中に有効成分として残るので肥料効果の高い完熟肥料が得られる。

STEP

3

糞便中に多く含まれる未消化の有機物が小分子に分解され、アミノ酸、ブドウ糖、脂肪酸、ミネラル、ビタミン等に成るので動植物に餌又は、肥料として与えれば消化、吸収がよくなり発育、生育がよくなる。

STEP

4

加水分解処理をする事により糞尿中に例えば、有害物質(ウイルスや化学物質)等が混入していた場合に於いても全て分解、滅菌、無害化され、安心して動植物に与える事が出来る。鳥インフルエンザウイルス、狂牛病の変性プリオンに対しても完全無害化出来ます。

ここで変性プリオンの無害化に付いて書きます。

狂牛病の原因である変成プリオンについてのEUによる無害化処理基準は、140℃・0.36Mpa以上での処理とされていますが、その基準と比較しても、加水分解装置クニスターAZを用いた処理条件(200℃、1.8Mpa)はWHO基準を遥かに上回る条件での処理となっております。
ゆえに,BSE汚染物対策にも充分に利用可能であり、異常変成プリオンの完全不活化を図れる無害化装置でもあります。(完全滅菌、蛋白質(変性プリオン)の分解)

STEP

5

クニスターAZで処理された肥料を農地に施せば土壌菌が最速で住み着き土壌が活性化されます。(ミミズの住む柔らかい土壌と成ります)

STEP

6

加水分解された栄養素を土壌又は、動植物が吸収すればそれらの水分浄化が促進され土壌はふかふかと成り生物は健康に育ち、強い抗菌作用が出来、野菜類の場合には、日持ちが良くなり、味も良くなり生産量も上がります。

以上のように加水分解装置クニスターAZを活用する事により、鶏糞の持つ肥料としての特性を十二分に発揮できます。

又、肥料以外にも処理品に乳酸菌や酵母菌を加えれば、鶏糞には未消化の栄養分が多く残っていますから飼料として利用する事も可能です。言うまでもなく、完全滅菌されていますから何の心配も無く安全です。

鶏糞肥料と呼ばれる物は数多くありますが、その加工方法により肥料効果に相当な開きがあります。例えば、施肥後はすぐに作付けが出来ないとか、施肥後に臭いが出るとか、それらは全て加工処理に起因するものです。
有機物の分解が充分に出来ていないからです。 これらの問題は、鶏糞を乾燥しただけでは解決出来ません。又、単に鶏糞中に多くの窒素分が有ると云うだけではよい肥料とは言えません。
何故ならば、窒素は作物に対して有効に働く前に窒素自身の周り(鶏糞肥料中)にある有機物を分解するために消費されるからです。
(未熟品には悪臭(アンモニア臭)が有ります。) 即ち、鶏糞肥料中に未消化の有機物が残っている場合にはそれらを分解するために窒素が自己消費され、(その時に悪臭が出るのです)本来必要とする作物に行き渡らないのです。其ればかりでなく、施肥後の分解行程で発生するガスが作物に対して悪影響を及ぼし、時には作物その物を枯れさせる、いわゆる肥料やけを引き起こす原因となるのです。そのような意味からも、有機肥料の完熟度が問われるのです。 有機物の90%以上が列記③のように分解された肥料が完熟有機肥料です。

余談ではありますが、水田に稲わらを漉き込む場合にも言える事です。「田植え前近くには藁を漉き込むな」と昔から言われています。それには根拠があるのです。
田植え前に漉き込まれた藁は土中の窒素によって分解され、いずれは肥料となります。しかし植えつけられた苗は生育する為に窒素を必要としています。
ところがその窒素が稲わら等有機物の分解で消費され必要としている苗に回ってこないのです。そのように作物の生育には窒素がとても重要なのです。
以上により窒素と有機物の分解の関係がご理解頂けた事と思います。
鶏糞をクニスターAZで加水分解処理する事により窒素が作物に対して有効に働く付加価値の高い完熟有機肥料を短時間かつ最小経費で製造する事が可能となるのです。

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